河川植生のうち、河道内の樹木面積割合は平均で約20%を占め、このうち約60~70%がヤナギ類、ハリエンジュ、タケ・ササ類(管理上樹木に含めている)は関する群落である(佐貫ら 2010)。

地域別にみた河川内の樹木面積(上:陸域に占める樹木面積,下:樹種別面積割合):北海道の陸域に占める樹木面積の割合は約35%であり日本の中で最も多い。

地域別にみた河川内の樹木面積(上:陸域に占める樹木面積,下:樹種別面積割合):北海道の陸域に占める樹木面積の割合は約35%であり日本の中で最も多い。

地域別の樹種別面積の割合:データは各河川(117河川)で1999年から2008年度に実施された水国の最新データを集計したもの。 北ほどヤナギ類が多く、南ほどタケ・ササ類が多い。東北から中部の寒くて勾配の強い箇所(がれた斜面や礫地)にハリエンジュが多い。

地域別の樹種別面積の割合:データは各河川(117河川)で1999年から2008年度に実施された水国の最新データを集計したもの。 北ほどヤナギ類が多く、南ほどタケ・ササ類が多い。東北から中部の寒くて勾配の強い箇所(がれた斜面や礫地)にハリエンジュが多い。

樹木管理を行う場合は、すでに大きく育った樹木を河川から持ち出す場合が多く、その主な対策が伐採や除根である。対策を有効なものとするためには、対策を行った事で新たに樹林帯が形成されないように実施する必要がある。実際に、ヤナギ類、ハリエンジュ、タケ・ササ類はそれぞれ、樹種の持つ生理的特性より再生戦略が異なるため、対策方法もこれに合わせて選択するのが良い

主要3種の再生戦略様式の違い(強い:〇 ほとんど無いか全く無い:☓)
ヤナギ類、ハリエンジュ、タケ・ササ類はそれぞれ、樹種の持つ生理的特性より再萌芽性や再生戦略が異なる(環境水理学  2015)

主要3種の再生戦略様式の違い(強い:〇 ほとんど無いか全く無い:☓) ヤナギ類、ハリエンジュ、タケ・ササ類はそれぞれ、樹種の持つ生理的特性より再萌芽性や再生戦略が異なる(環境水理学 2015

例えば**、ヤナギ類は枝や株からの再生が強く、根からの再生は乏しい**。このため切り株を取り除けば根から再生することは少ないと考えてよい。ただし、枝打ちした残枝が作業現場に残ると枝から再生する可能性が高くなるので、河川から持ち出す際に注意を要する。一方、ハリエンジュは株や根からの再生が強いため、株と根を取り除かない限り、再樹林化の起こりうる可能性が極めて高いと言える。

また、高水敷の切下げといった大きな地形改変を伴う場合、新たに形成される地盤面は、切下げ前の地盤面よりも低下し、水面および地下水位面に近くなることにより土壌の湿潤度が高くなる可能性が高い(大石ら 2013)。このため、ヤナギの種子の発芽、生長が促進されるという問題が生じる。さらに、一時的に裸地域ができることから光条件が改善され、光発芽性の先駆的な樹種により樹林化が促進されることもあり得る。以上のように、対象となる場の地形や水理量などの物理的な条件と植物の生理的条件や生活史全体を通して、改変後の環境がどのように変化するかを想定し、適切な対策を実施することが重要である。